仙台いじめ防止ネットワークの一つのプロジェクトとして、わたしたちは、「IoTによるいじめ防止」活動を行っています。

   

   

1. 概要


いじめの早期発見の実現のためには、いじめ被害者やいじめ目撃者(傍観者)がスムーズに支援要請できることが重要であることから、探索研究期間においては「声を上げやすい」スキームを開発します。

また並行して、子どもからの支援要請を大人の側が受け止めやすくする、すなわち「声を受け止めやすい」スキームも同時に開発します。

これらを実現するために、児童生徒からの支援要請発信機能を持つIoTデバイス開発を行います。具体的には、児童生徒が身に着けるIoTデバイスの試作機作成とパイロット校における試験運用、教員や児童、保護者からのフィードバックデータ収集までを実施します。続く本格研究期間には、IoTデバイスの機能改善およびセンシング機能等の追加を実施しつつ、収集された基礎データを基に、学校や教員の対応を一部自動化するアルゴリズムを生成し、その精緻化・適正化を継続して行います。

   

   

2. 実現したい未来社会像


現在、世界の教育現場において子どもの「いじめ」が大きな課題となっています。

いじめには国や地域によって様々な特徴があるが、背景には人種や民族、貧困や障害、セクシャリティ等の様々な要因も複雑に交絡しており、その解決は容易ではありません。

日本においても、いじめを受けた子どもの自死や不登校等の「重大事態」が年々増加しており、個々の子どもの被害も深刻であるが、社会全体が被る損失も膨大なものとなっています。

本研究プロジェクトでは、いじめの早期発見・早期解決と発生予防によって、子どもたちが安全・安心な学校生活を営むことのできる未来社会の実現を目指します。

本研究によって開発されるスキームが各学校に実装されることによって、いじめに限らず様々な問題を抱えた子どもたちが、悩みを一人で抱え込まずに支援要請を適切なタイミングで適切な対象に向けて発信し、自分の命や権利を守ることが可能になると期待されます。そこで身につけたセルフヘルプ・スキルは、子どもの時期だけではなく生涯に渡って役立つものになると期待されます。

また多忙を極める学校教員にとって、本研究開発の成果の実装によって、いじめ対応等の業務負担が減り、本来の中心的業務である教科教育に注力することが可能となります。

現在、日本においては全国的に教員採用試験の倍率が低下しており、教員を志望する学生の数が減少しています。一方で、団塊の世代の教員らが定年退職し、学校現場にはキャリアの浅い若い教員が増えて、教育の質を維持することがますます困難になるという悪循環が進みつつあります。

本プロジェクトでは、いじめの早期発見から早期介入までをモデル化することで、教員の教職経験の長短に関わらず誰でも適切・迅速な対応が可能となることが期待されるため、教員のみならず、子どもや保護者にも大きなメリットがもたらされることが期待されます。

学校が、全ての子どもたちの社会的自立や健全な成長を支援する役割を果たすことができれば、真に「誰一人取り残さない社会」の実現に近づくでしょう。本プロジェクトで目指すものは、こうした未来社会の実現です。

その他の活動.

わたしたちは、いじめを防止するために様々な活動を行っています。他の活動については以下にてご覧いただけます。